※お酒は20歳になってから
冩樂(しゃらく)は、福島県会津若松市の宮泉銘醸が製造する日本酒です。「幻の酒」とも称され、SAKE COMPETITIONで複数回の1位を獲得しています。特約店限定の流通システムにより販売され、4代目蔵元・宮森義弘氏が平成17年に銘柄を継承して酒質と販路を一新しました。

冩樂(しゃらく)とは?基本情報と歴史

冩樂の誕生背景、蔵元の歴史、銘柄の継承について確認していきます。
宮泉銘醸の創業と分家の歴史
宮泉銘醸は昭和30年前後に創業した酒蔵で、会津若松の花春酒造から分家独立しました。創業者の宮森啓治氏が花春酒造から分家して設立しました。蔵の名称「宮泉」は、創業者の姓「宮森」と土地を譲ってくれた「和泉」の姓を合わせて命名されました。
所在地は福島県会津若松市東栄町8番7号で、鶴ヶ城の近くに位置します。会津盆地には多くの河川があり、湧き水に恵まれた地域です。
冩樂銘柄の継承と新展開
冩樂は平成17年(2005年)に4代目蔵元・宮森義弘氏が東山酒造の廃業に伴い銘柄を継承し、酒質と販路を一新した銘柄です。同じ会津若松市にある東山酒造(花春酒造の分家)が廃業することになり、「銘柄を引き取ってほしい」という依頼を受けて継承しました。継承時に酒質も販路も完全に一新することを条件としました。
継承した年の夏、宮森義弘氏が福島県酒造組合主催の東京でのイベントに新商品を持参し、多くの人に「美味しい」と評価されました。
特約店限定流通システムの確立
冩樂は全国の厳選された特約店のみで販売される流通限定酒です。正規取扱店では会員限定販売を実施し、要冷蔵・クール便推奨で販売しています。宮泉銘醸の直売所では「會津宮泉」のみ販売しており、冩樂は特約店でのみ購入できます。
冩樂の商品ラインナップと特徴

定番商品、季節限定品、酒米の違いによる味わいの変化について確認していきます。
定番商品の純米吟醸と純米酒
冩樂の定番商品は「純米吟醸」と「純米酒」です。純米吟醸は酒造好適米「五百万石」を使用し、純米酒は福島県開発の「夢の香」を使用しています。
純米吟醸(精米歩合50%、アルコール分16%、日本酒度+1、酸度1.3)は會津美里町産五百万石100%を使用しています。純米酒(精米歩合60%)は會津湊産夢の香100%を使用しています。どちらも一回火入れ処理を行っています。
プレミアム商品と季節限定品
冩樂には純米大吟醸クラスの商品と季節限定品があります。純米大吟醸「極上二割」は兵庫県神戸市特A地域産の山田錦を精米歩合20%まで磨いた商品で、「しずくどり」は精米歩合40%の純米大吟醸です。季節限定品では各地の酒造好適米を使用しています。
赤磐雄町シリーズは岡山県赤磐地区産の雄町米を使用し、吉川山田錦は兵庫県三木市特A地域産の山田錦を使用しています。酒未来を使用した限定品や、YouTuber「サワヤン」とのコラボ商品「デスター冩樂」も販売されています。これらの商品は数量限定で、予約制や抽選制での販売が行われています。
生酒・無濾過シリーズの魅力
冩樂の生酒・無濾過シリーズは火入れ処理や濾過処理を行わない商品です。生酒は火入れ処理を行わず、無濾過商品は濾過処理を行いません。初しぼり生酒は新酒の季節に発売される商品です。
純米吟醸無濾過生は「果実を思わせる穏やかな立ち香、重厚感のある豊かな含み香が広がり、瑞々しい果実のような甘味とシャープな酸味がバランス良く味わえる」と表現されています。赤磐雄町生酒は「爽やかな柑橘系の果実を思わせる立ち香」と記載されています。生酒は要冷蔵保存で、開栓後は早めの消費が必要です。無濾過商品は澱が沈殿する場合があります。

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冩樂の評価と受賞歴
国際的な評価、SAKE COMPETITIONでの実績、専門家による評価について確認していきます。
SAKE COMPETITIONでの輝かしい実績
冩樂はSAKE COMPETITIONで複数回の1位を獲得しています。2014年のSAKE COMPETITIONで純米酒と純米吟醸酒の両部門で1位を獲得し、2018年には純米酒部門で「會津宮泉」が1位、「冩樂」が5位を獲得しました。
SAKE COMPETITIONは全8部門があり、純米酒部門は最大の出品数があります。同一蔵元の二つの銘柄が共に上位入賞することは珍しいことです。
専門家と愛好家からの高い評価
冩樂について日本酒専門家は「凝縮された甘みとシャキッとした切れ味が美しい」と評価しています。専門家による評価では「濾過や瓶詰め、火入れ、貯蔵など上槽後の工程に力を入れる酒蔵で、劣化を防ぐためのその努力の成果は飲んで知るべし」と記載されています。
愛好家のレビューでは「美味しくてついつい進んじゃう」「期待以上の美味しさ」といった感想が寄せられています。
「幻の酒」としての市場価値
冩樂は入手困難さから「幻の酒」と呼ばれています。特約店限定流通と生産量の制限により、入手が困難な状況となっています。
正規取扱店では予約制や数量限定販売が行われており、「完売しました」の表示が頻繁に見られます。特に季節限定品や希少酒米を使用した商品は発売と同時に完売することがあります。転売価格で流通することもあります。

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まとめ
冩樂(しゃらく)は、福島県会津若松市の宮泉銘醸が製造する日本酒です。4代目蔵元・宮森義弘氏が平成17年に銘柄を継承し、酒質と販路を一新して再出発しました。
SAKE COMPETITIONで2014年に純米酒・純米吟醸酒両部門で1位を獲得し、2018年には純米酒部門で會津宮泉が1位、冩樂が5位を獲得しました。特約店限定流通により「幻の酒」と呼ばれており、五百万石や山田錦など各地の酒造好適米を使用した多彩なラインナップを展開しています。
Q&A
Q1:冩樂はどこで購入できますか?
A1:冩樂は全国の正規特約店でのみ購入可能です。宮泉銘醸の直売所では販売しておらず、多くの特約店では会員限定販売や予約制を採用しています。
Q2:冩樂の読み方と漢字について教えてください
A2:正式には「冩樂」と書き、読み方は「しゃらく」です。漢字が難しいため「写楽」と表記される場合もありますが、正式な銘柄名は「冩樂」です。
Q3:冩樂と會津宮泉の違いは何ですか?
A3:同じ宮泉銘醸の製品ですが、冩樂は「季節に沿った銘柄米を使い、しっかりと磨いて造る」現代的なブランドで、會津宮泉は「伝統を守りつつ、新たなる試みに挑む」地元密着型のブランドです。
Q4:冩樂の保存方法は?
A4:要冷蔵保存です。特に生酒や無濾過商品は冷蔵庫で保管してください。開栓後は早めに消費し、直射日光を避けて保存してください。
Q5:冩樂の価格帯はどの程度ですか?
A5:純米酒・純米吟醸で2,000円~3,000円台、純米大吟醸クラスで10,000円以上で販売されています。限定品や特別な酒米を使用した商品はさらに高価格になります。
参考文献