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厚生労働省が公表した「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」では、週のうち飲酒をしない日を設けることの重要性が明記されています。休肝日は本当に健康に効果があるのでしょうか。
本記事では、厚生労働省のe-ヘルスネットやアルコール健康医学協会の公式情報に基づき、休肝日の定義・科学的根拠・具体的な実践方法について詳しく解説します。
お酒を楽しみながら健康を維持するための正しい知識をお伝えします。

休肝日とは|厚生労働省による公式定義
厚生労働省のe-ヘルスネットによると、休肝日は「肝臓を休めるために週に1日以上飲酒しない日を設けることを推奨する目的で作られた造語」と定義されています。
医学用語ではありませんが、行政機関や医療機関で広く使用されている健康管理の概念です。
厚生労働省ガイドラインの記載内容
令和6年2月に公表された「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」では、休肝日という言葉は使用されていないものの、以下の内容が明記されています:
「一週間のうち、飲酒をしない日を設ける(毎日飲み続けるといった継続しての飲酒を避ける)」
この背景として、毎日飲酒を続けた場合、アルコール依存症の発症につながる可能性があることが挙げられています。定期的に飲酒をしないようにすることで、依存症リスクの軽減を図ることが目的とされています。
肝臓におけるアルコール代謝の基本
アルコールの代謝は主に肝臓で行われます。厚生労働省のe-ヘルスネットによると、摂取されたアルコールはアルコール脱水素酵素(ADH)によってアセトアルデヒドに分解され、さらにアルデヒド脱水素酵素(ALDH)によって酢酸になります。
日本人の遺伝的特徴として、ADH1Bには個人差があり、5~7%の日本人はアルコール分解が遅いタイプを持っています。また、ALDH2についても活性の低い人や欠損している人がおり、これらの酵素活性の違いがアルコールの影響に個人差をもたらします。
休肝日の科学的効果|研究データに基づく検証
厚生労働省の多目的コホート研究(JPHC研究)では、休肝日に関する重要なデータが報告されています。
3日以上の休肝日があると、多量の飲酒をしていても総死亡リスクとがんによる死亡リスクの増加が抑制されるとしていますが、複数の研究での検証が必要としています。
アルコール依存症予防効果
厚生労働省のe-ヘルスネットでは、休肝日がアルコール依存症の早期発見に役立つことが記載されています。アルコール依存症や予備群の人は、休肝日にイライラしたり寝付きが悪くなったりするため、休肝日を継続することに失敗する傾向があります。
これにより、休肝日を設けられるかどうかで、問題飲酒の顕在化に役立つとされています。自分の意思で飲酒をコントロールできるかの指標として、休肝日は重要な意味を持ちます。
デンマークの研究データ
日本生活習慣病予防協会が紹介しているデンマークでの研究結果によると、アルコールを週に2~4回飲む人と比較して、ほとんど毎日飲む人ではアルコール性肝臓病の発症率が3.7倍に上昇することが報告されています。
アルコール健康医学協会の推奨事項

公益社団法人アルコール健康医学協会では、「適正飲酒の10か条」において休肝日に関する具体的な指針を示しています。
週2日の休肝日推奨
アルコール健康医学協会は、週に2日程度の休肝日を作ることを推奨しています。重要なポイントとして、週5日続けて飲酒して2日連続で休むのではなく、2〜3日飲んで1日休むという習慣をつくることが挙げられています。
この理由として、お酒を飲むと肝臓には中性脂肪が蓄積され、胃や腸といった消化管の粘膜も荒れることが挙げられています。これらの臓器の修復のために、週に2日程度の休肝日が必要とされています。
肝臓の分解能力と負担
2単位のお酒(ビールなら中びん2本、日本酒なら2合、焼酎なら1.2合)を肝臓で分解するのに、個人差はありますが平均6〜7時間前後かかるとされています。
お酒を飲んだ後、就寝している間も肝臓は働き続けるため、毎日連続して酷使すると障害が出てくるとしています。
肝臓への影響とアルコール性肝障害

厚生労働省のe-ヘルスネットによると、アルコール性肝障害は一般的に飲酒量が多いほど、飲酒期間も長いほど進行しやすいとされています。
個人差や性差が大きい病気であることも特徴として挙げられています。
アルコール性肝障害の進行段階
アルコール性肝障害は以下の段階を経て進行します:
アルコール性脂肪肝: 飲みすぎにより多くの人に発生する初期段階です。
アルコール性肝炎: 一部の人が発症し、まれに重症化して死亡することもあります。
肝線維症: 日本では明らかなアルコール性肝炎の既往なしに肝臓が線維化して硬くなる症例が多いとされています。
肝硬変: さらに飲み続けると肝硬変へと進行します。
肝臓は「沈黙の臓器」
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、症状が出てからでは重篤化している場合があります。
そのため早期発見が大切とされており、お酒を常習的に飲んでいる方は症状がなくても定期的に血液検査を受けることが推奨されています。
血液検査項目
肝臓病の早期発見には血液検査が有効で、検査項目としてAST(GOT)、ALT(GPT)、γ‐GTPがあります。
γ‐GTPが高値の方はアルコールの飲みすぎが疑われるため、血液検査でIV型コラーゲンなどの線維化マーカーをチェックすることが推奨されています。
休肝日の実践方法

休肝日を効果的に実践するためには、単にお酒を飲まないだけでなく、肝臓の健康をサポートする取り組みが重要です。
栄養面でのサポート
肝臓の修復を促すために、以下の栄養素を意識して摂取することが推奨されています:
良質なタンパク質: 魚介類、肉類、卵、大豆製品など、肝細胞の修復に必要な栄養素です。
ビタミン・ミネラル: 野菜や海藻、きのこなどに含まれる成分で、肝機能をサポートします。
運動の取り入れ
適度な運動は健康維持に重要です。脂肪肝が気になる人や飲酒でストレス発散を目指していた人には、ウォーキングなどの有酸素運動が推奨されています。
ノンアルコール飲料の活用
休肝日にお酒の雰囲気を楽しみたい場合は、アルコール度数0%のノンアルコール飲料を活用することができます。最近では味わいの向上した商品が多数登場しています。
継続のための心構え
休肝日を継続するためには、お酒を飲みたい気持ちを紛らわすのではなく、読書や映画鑑賞、スポーツなど、自分が楽しいと思うことを優先することが重要です。
専門医の見解
筑波大学医学医療系の専門医によると、現在検討されている厚生労働省の飲酒ガイドラインでは、休肝日という言葉は使われておらず、依存症を予防することを目的としてお酒を飲まない日を作ることの重要性が示されています。
肝臓をいたわるためには、休肝日とともに飲酒量そのものをコントロールすることが重要とされています。日本肝臓学会の基準では、1日当たりの平均的な飲酒量に焦点が当てられており、休肝日を作っても飲む日の酒量が多くなってしまうと肝臓に障害をきたすリスクがあります。
まとめ

休肝日は、厚生労働省やアルコール健康医学協会が推奨する健康管理の方法です。週に2日程度、2〜3日に1回の頻度で設けることで、アルコール依存症の予防と肝臓の負担軽減が図れます。
重要なのは、休肝日を設けるだけでなく、飲酒日の適量も守ることです。肝臓の健康を維持するためには、総合的な生活習慣の改善が必要です。
お酒を楽しみながら健康を維持するために、公的機関の指針に基づいた正しい知識を持ち、適切な休肝日を実践していきましょう。定期的な健康診断により、自身の健康状態を把握することも重要です。
よくあるQ&A
Q1: 休肝日は医学的に効果が認められているのですか?
A1: 厚生労働省の多目的コホート研究では、3日以上の休肝日で死亡リスクの増加抑制が報告されていますが、複数の研究での検証が必要とされています。確実に効果が認められているのは、アルコール依存症の早期発見と予防への貢献です。
Q2: 休肝日は週に何日が適切ですか?
A2: アルコール健康医学協会では週に2日程度を推奨しています。厚生労働省のガイドラインでは具体的な日数は示されていませんが、毎日飲み続けることを避けることが重要とされています。
Q3: 休肝日にノンアルコール飲料を飲んでも大丈夫ですか?
A3: アルコール度数0%の飲料であれば問題ありません。ただし、商品によっては微量のアルコールを含むものもあるため、表示を確認することが大切です。
Q4: 休肝日が継続できない場合はどうすればよいですか?
A4: 厚生労働省のe-ヘルスネットによると、休肝日を継続できない場合はアルコール依存症や予備群の可能性があります。医療機関での相談をおすすめします。
Q5: 休肝日以外で肝臓を守る方法はありますか?
A5: 厚生労働省は、お酒の量を控えること(1日あたり日本酒にして1合、ビールなら中びん1本程度まで)の重要性を示しています。また、定期的な血液検査による早期発見も重要です。