※お酒は20歳になってから
PISCO(ピスコ)は南米のペルーやチリで造られる蒸留酒で、ブドウを原料としたグレープブランデーの一種です。近年、ペルー料理の世界的評価とともに日本でも注目度が急上昇しているこの魅力的なお酒について、専門知識がない方でも分かりやすく詳しく解説します。400年の歴史を持つピスコの基本知識から種類、製造方法、そして自宅で楽しめる美味しい飲み方まで、この記事を読めばピスコのすべてが理解できます。
ピスコの基本知識と歴史 – 400年の伝統を持つ南米の至宝

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ピスコとは何か?基本的な特徴を解説
ピスコは、ブドウを原料に使った蒸留酒で、グレープブランデーの一種です。色は無色透明で、アルコール度数はペルー産が38~48度、チリ産が30~50度という高い度数を持ちます。最大の特徴は、ペルー産の場合は樽熟成を行わないため、純粋なブドウの香りと味わいがそのまま楽しめることです。
ピスコという名前の由来は、ペルー南部にある同名の港町にあります。ケチュア語で「小鳥」を意味する「pisqu」が語源で、この地域で造られていた陶器の壺もピスコと呼ばれていました。後にそこから出荷される蒸留酒が港の名前である「ピスコ」と名付けられるようになったのです。
2018年に設立された日本ピスコ協会によると、「ピスコ用ブドウの新鮮な果汁を発酵させ、その醪を伝統的な品質の原則に従った方法で蒸留した成果物の液体をピスコと呼ぶ。生産地は以下に限られる:リマ州、イカ州、アレキパ州、モケグア州の4州の沿岸部と、タクナ州のロクンバ渓谷、サマ渓谷、カプリナ渓谷。」と定義されています。レモン、洋ナシ、プラム、ジャスミン、レモングラス、ハチミツなど、さまざまな香りに例えられる芳醇な香りが魅力です。
現在では原産地呼称制度により、ペルーでは5つの地域(リマ、イカ、アレキパ、モケグア、タクナ)、チリでは2つの地域(アタカマ州、コキンボ州)で製造されたもののみがピスコと名乗ることができます。特にペルーのタクナ産は国内で高品質として知られています。
ピスコの歴史 – スペイン植民地時代から現代まで
ピスコの歴史は16世紀のスペイン植民地時代に始まります。大西洋のスペイン領カナリア諸島からペルーにブドウが持ち込まれ、気候条件が合っていたため栽培が盛んに行われるようになりました。文献によると、17世紀初頭頃からブドウを蒸留して酒が作られるようになったとされています。
興味深いのは、本国スペインがペルーでのワイン作りを禁止した時代があったことです。「ブドウ栽培は良いがワインを作るのは駄目」という状況になったため、ブドウの発酵液を蒸留したピスコが発達したという歴史的背景があります。これは結果的に、南米独自の蒸留酒文化を生み出すきっかけとなりました。
当初は「アグアルディエンテ(直訳すると燃える水)」と呼ばれていた透明なブランデーが、ピスコ地方の港から外国へ輸出されることで「ピスコ」の名前で知られるようになりました。この蒸留酒は口当たりまろやかで美味しいということから、すぐにペルー全土や近隣国へ輸出されるようになったのです。
現在ではペルーの国家文化遺産にも登録されており、ペルーとチリ両国が互いにピスコの起源を主張し続けています。日本では両国とのEPA(経済連携協定)において、「ピスコ・ペルー」と「チリ産ピスコ」という地理的表示の相互保護に合意しており、どちらも正式に認められています。
ピスコの種類と製造方法 – ペルー産とチリ産の決定的な違い
ペルー産ピスコの厳格な製造規定と3つのタイプ
ペルー産ピスコは世界でも最も厳格な製造規定を持つ蒸留酒の一つです。使用できるブドウ品種は8種類に限定されており、「イタリア」「トロンテル」「モスカテル」「アルビージャ」などのアロマティコ(芳香性)と、「ケブランタ」「ネグラクリオラ」「モジャール」「ウビナ」などのノン・アロマティコ(非芳香性)に大別されます。
特に「ピスコ用ブドウの女王」とも呼ばれるケブランタは、その凛とした高貴な香りを愛するファンが大勢おり、初心者にもおすすめの品種です。ペルー産ピスコは蒸留強度が低く、蒸留器から出てきたプルーフ(アルコール濃度)のまま何も加えずに製品化されるため、特にブドウの個性や香り、風味を感じられる味わいになります。
ペルー産ピスコは製造方法により3つのタイプに分類されます。「プーロ(Puro)」は単一のブドウ品種100%で造られるピスコで、ブドウの個性が最も表現されます。「アチョラード(Acholado)」は2種類以上の異なる品種のブドウやマストをブレンドして得られるピスコです。「モスト・ベルデ(Mosto Verde)」は発酵途中のマスト(醪)を蒸留して造られ、通常のピスコの約2倍のブドウが必要になるため、最も贅沢で濃厚な味わいが楽しめます。
重要な規定として、ペルーでは蒸留は1度きりとされており、希釈や添加物の使用、樽熟成は一切認められていません。貯蔵にはピスコの有機的な特性、香りや風味を変化させないよう、ガラスやステンレス、またティナーハやボティーハと呼ばれる伝統的な素焼きの瓶が使われ、最低3ヶ月間の熟成が義務付けられています。
チリ産ピスコの特徴とより柔軟な製造方法
チリ産ピスコはペルー産よりも製造規制が緩やかで、より多様な製造方法が認められています。使用できるブドウ品種は13種類で、「モスカテル・ロサダ」「モスカテル・デ・アレハンドリア」「トロンテル」「ペドロ・ヒメネス」などが含まれます。製造においては繰り返しの蒸留が認められており、連続式蒸留器の使用も可能です。
チリ産の大きな違いは樽熟成が認められていることです。アメリカンオークやフレンチオーク、チリ原産の「ラウリ」というブナの樽などが使用可能で、これにより木樽由来の香りや味わいが付加されます。また、アルコール度数を調整するために水で希釈することも認められており、より飲みやすい度数に調整された製品も存在します。
チリのピスコはアルコール度数によって4つのカテゴリーに分けられています。「コリエンテ オ トラディシオナル」(30~35%)、「エスペシャル」(35~40%)、「レゼルヴァド」(40%)、「グラン」(43%以上)という分類で、消費者が度数を選びやすくなっています。
この製造方法の違いにより、ペルー産は純粋なブドウの香りと味わいが特徴的で、チリ産はより複雑で多様な風味プロファイルを持つことになります。どちらが優れているということではなく、それぞれ異なる個性を持っており、好みに応じて選択できるのがピスコの魅力の一つです。
ピスコの楽しみ方とカクテルレシピ – 初心者から上級者まで

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基本的な飲み方とテイスティングのコツ
ピスコを初めて楽しむ方には、まずストレートでの試飲をおすすめします。コニャックグラスやグラッパグラスと同様の小さめで、香りが立つようボディがくびれている専用グラスを使用すると、ピスコ独特の芳香を最大限に楽しめます。室温で少量を口に含み、香りを楽しんでから味わってください。
高いアルコール度数のため、オンザロックで楽しむのも良い方法です。氷を加えることでアルコールの刺激が和らぎ、温度が下がることで異なる香りの要素も楽しめます。また、ソーダ割りやトニック割りも、ピスコの香りを残しながら爽やかに楽しめる飲み方として人気があります。
ピスコの味は実に様々で、半甘口から辛口まであります。よく造られたピスコは驚くほどなめらかで、ブドウの香りに加えて、ハーブや土の香りも感じられます。特にペルー産は味よりも香りが強い傾向があり、チリ産はよりフローラルな香りがすることが多いという特徴があります。
初心者の方は、香りが控えめなケブランタ種から始めることをおすすめします。ストレートでもオンザロックでも美味しく、ピスコ本来の味わいを理解するのに最適です。慣れてきたら、香りが豊かなモスカテル種やイタリア種を試してみると、ピスコの多様性を実感できるでしょう。
世界的人気のピスコサワーの作り方
ピスコサワーは、ペルーの最も代表的なカクテルで国民的飲み物です。1920年代に、ペルーの首都リマのバー「モリスバー」を営んでいたアメリカ人バーテンダーのビクター・ヴォーゲン・モリスが考案したとされています。英国の飲料専門誌「Drinks International」が発表する「The World’s Best Selling Classic Cocktails」で毎年ランクインするほどの人気カクテルです。
日本ピスコ協会推奨の基本レシピは以下の通りです:ピスコ75ml、ライムジュース30ml、シンプルシロップ30ml、卵白Mサイズ1個分、アンゴスチュラ・ビターズ数滴。作り方は、材料をシェイカーに入れ、スピンドルミキサーもしくはドライシェイクしてから氷を加えさらにシェイク。グラスに注ぎビターズを数滴垂らして完成です。
家庭で作る場合は、シェイカーがなくてもミキサーで代用可能です。氷が砕けるまで30秒〜1分ほど混ぜてグラスに注ぎ、泡の上にビターズを数滴落とせば完成します。卵白を使用するため、卵アレルギーの方は注意が必要で、新鮮な卵を使用し、作ったらすぐに飲むことが大切です。
ピスコサワーの魅力は、ライムの酸味とシロップの甘み、ピスコのボリューム感、卵白のふわっとした舌触りの絶妙なバランスです。クリーミーで甘酸っぱい独特の味わいが特徴で、日本でも多くの人に愛されています。ペルーでは2月の第一土曜日が「ピスコサワーの日」として制定されているほど、文化的に重要なカクテルです。
その他のおすすめピスコカクテル
ピスコを使ったもう一つの人気カクテルが「チルカーノ」です。このカクテルはバーではなく家庭のホームパーティーなどで楽しまれていた歴史があり、シェイカーやミキサーがなくても簡単に作れるのが特徴です。レシピは、ピスコ20ml、ライム果汁20ml、ジンジャーエール60ml、氷適量で、グラスに氷を入れ、ピスコとライムを注いで混ぜ、ジンジャーエールを加えて軽く混ぜるだけです。
モスコミュールのウォッカをピスコに置き換えたようなカクテルで、ピスコサワーと違ってガムシロップを入れていない分、甘さが控えめですっきりとした味わいが楽しめます。アルコール度数も比較的低めになるため、お酒が苦手な方にもおすすめです。
ペルーの高地では「ピスコの紅茶割り」も親しまれています。マグカップ1杯分の紅茶にピスコの蓋2杯分ほどを入れて飲む方法で、高山病の症状緩和にも効果があるとされています。寝る前に飲むと体が温まり、リラックス効果も期待できます。
その他にも、ジンジャーエールやスパークリングワインとの組み合わせ、ホットコーヒーにピスコを1ショット入れてミルクを加える飲み方など、ピスコは非常に versatile(多用途)なスピリッツです。南米ではトロピカルフルーツと合わせることも多く、「アルガロビーナ」(アルガロボのシロップとコンデンスミルクで作る)や、チリのクリスマスカクテル「コーラ・デ・モノ(猿のしっぽ)」なども伝統的な飲み物として愛されています。
Q&A
Q: ピスコとコニャックやブランデーとの違いは何ですか? A: 主な違いは製造方法と熟成過程にあります。ペルー産ピスコは樽熟成を行わず無色透明で、1回のみの蒸留により純粋なブドウの香りが特徴です。コニャックやブランデーは樽熟成により琥珀色で、複雑な風味を持ちます。
Q: ピスコのアルコール度数はどのくらいですか? A: ペルー産は38~48度、チリ産は30~50度です。チリ産はさらに度数別に4つのカテゴリーに分類されており、用途に応じて選べます。高い度数のため、初心者はカクテルベースとして楽しむことをおすすめします。
Q: ピスコの保存方法と賞味期限は? A: 開封前は直射日光を避けた冷暗所で長期保存可能です。開封後は冷蔵庫での保存がおすすめで、蒸留酒のため腐敗することはほとんどありませんが、香りの変化を防ぐため早めに消費しましょう。
Q: 初心者におすすめのピスコの銘柄と飲み方は? A: ケブランタ種を使った単一品種(プーロ)のピスコがおすすめです。香りが控えめで飲みやすく、ピスコ本来の味わいを楽しめます。飲み方はまずピスコサワーから始めることをおすすめします。
Q: ピスコが購入できる場所は? A: 大型酒販店やデパートの酒売り場、オンラインショップで購入可能です。ペルー料理レストランでも楽しめます。日本では「どのお店にも置いてある」タイプのお酒ではありませんが、近年取り扱い店舗が増加しています。
まとめ
ピスコは16世紀のスペイン植民地時代から400年以上続く歴史を持つ、南米ペルー・チリで造られるブドウの蒸留酒です。ペルー産は厳格な製造規定により純粋なブドウの香りと味わいが特徴で、チリ産は樽熟成や複数回蒸留により多様な風味プロファイルを持ちます。
近年、ペルー料理の世界的評価とともに日本でも注目度が急上昇しており、2018年には日本ピスコ協会も設立されました。世界的に人気のピスコサワーは、クリーミーで甘酸っぱい独特の味わいが魅力で、家庭でも簡単に作ることができます。
ピスコの最大の魅力は、ブドウ本来の香りと味わいを存分に楽しめる点にあります。アルコール度数は38~48度と高めですが、カクテルベースとして使えば飲みやすく、ストレートからカクテルまで様々な楽しみ方ができます。400年の伝統を持つこの素晴らしい南米の至宝を、ぜひ一度体験してみてください。きっとピスコの奥深い魅力に魅了されることでしょう。

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