※お酒は20歳になってから
冬の定番料理といえば、やっぱり鍋料理。野菜や肉、魚介など具材をたっぷり入れてグツグツと煮込めば、身体が芯から温まりますよね。また、鍋料理はみんなで囲んで食べる楽しさもあり、食卓に笑顔があふれること間違いなし。そんな鍋料理を、さらに盛り上げてくれる存在が“お酒”です。
今回は、鍋料理に合うお酒をテーマに、味付け別の選び方やペアリングのポイントを深くわかりやすく解説していきます。お家で鍋を楽しむときに、ぜひ参考にしてください。
1. 鍋料理とお酒の相性を考えるうえで大切なポイント
1-1. 鍋の種類と味わい
一口に“鍋料理”といっても、その種類は実にさまざまです。大きく分類すると以下のような味付けがあります。
- あっさり和風鍋(寄せ鍋、水炊きなど)
鰹や昆布、鶏ガラなどの出汁をベースにした、素材の味わいを活かした鍋。醤油や塩、ポン酢などのシンプルな調味料と合わせることが多いです。 - 味噌仕立て・濃厚系鍋(もつ鍋、ちゃんこ鍋、石狩鍋など)
味噌やバター、生クリームなどを使ったコクのある味わい。北海道の石狩鍋や、味噌ちゃんこなども含まれます。 - 辛味系鍋(キムチ鍋、火鍋など)
キムチや豆板醤、唐辛子を使ったピリ辛・激辛タイプ。発汗作用があり、身体の芯から温まる鍋です。 - 洋風・クリーミー鍋(豆乳鍋、トマト鍋、チーズ鍋など)
豆乳やトマト、チーズ、牛乳などを使った洋風テイストの鍋。最近はバリエーションが豊富で、アレンジも多彩です。
鍋の味付けによってお酒の種類を変えるのが、ペアリング成功の秘訣です。
1-2. お酒の風味・香り・ボディ感
お酒にも多種多様な味わいがあります。たとえば、日本酒には淡麗辛口から濃醇旨口まで幅広いタイプがあり、ビールもラガーとエールで大きくキャラクターが異なります。焼酎やワイン、さらにはサワー系まで含めると選択肢は無限大。
そこでポイントになるのが、鍋の味付けとの調和です。鍋の風味を打ち消さない、もしくはお互いを高め合う組み合わせを考えてみましょう。
2. 鍋と相性抜群! おすすめお酒リスト

ここからは、鍋の味付け別に相性の良いお酒を詳しく解説します。特徴や楽しみ方のコツもあわせてチェックしてみてください。
2-1. あっさり和風鍋 × 日本酒(淡麗辛口・本醸造など)
和風寄せ鍋、水炊きとの相性
鰹や昆布の出汁が効いたあっさり鍋や、水炊きのような塩ベースのシンプルな味付けには、日本酒の中でも淡麗辛口タイプがマッチ。素材の繊細な旨みを壊さずに引き立ててくれます。
- おすすめの酒米・産地の例
- 新潟の淡麗辛口(五百万石などを使用)
- 秋田や山形の本醸造・吟醸酒で辛口タイプ
- 楽しむコツ
- 冷酒や常温でキレの良さを活かす
- ポン酢や薬味と合わせるときは、冷やしてスッキリ味わうと口の中がさっぱり
旨味の濃い鶏出汁にも好相性
水炊きのように鶏ガラで濃厚な出汁をとる場合でも、あっさり塩味なら辛口の日本酒が◎。お好みで柚子胡椒や生姜、ネギなど薬味を加えると味わいが引き締まり、さらにお酒が進みます。
2-2. 味噌仕立て・濃厚系鍋 × コクのある純米酒、エールビール
味噌鍋やもつ鍋とのペアリング
味噌ベースの鍋は、発酵の旨味とコクがポイント。ここに合わせるのは、純米酒のような米の旨みがしっかりと感じられるお酒。味噌やもつの濃厚な味わいに負けず、しっかりと食中酒として活躍してくれます。
- おすすめの日本酒タイプ
- 純米吟醸、山廃・生もと系(濃醇タイプ)
- 米の甘みと酸味がバランスよく、味噌の風味と相乗効果
- ビール派にはエールタイプも
- 香り高いエールビール(ペールエール、ブラウンエールなど)は、深みのある味噌スープとの相性が良い
- コクのあるモルト感が味噌の甘さを引き立てる
石狩鍋やちゃんこ鍋にも応用
鮭やバターを使う石狩鍋や、鶏肉・豚肉・野菜をふんだんに入れたちゃんこ鍋も味わいがしっかり目。そのため、ややアルコール度数高めorコクの強いお酒が良いです。純米酒や中濃系のビールのほか、芋焼酎のお湯割りもおすすめ。
2-3. 辛味系鍋(キムチ鍋、火鍋など) × 香り華やかな吟醸酒、ラガービール
キムチ鍋や辛味噌ベース
発酵食品のキムチを使った鍋は、唐辛子の辛さとキムチの酸味が特徴。ここには、香りが華やかで口当たり軽めの吟醸酒や生酒が好相性。辛味の刺激をまろやかにしつつ、爽快感をプラスしてくれます。
- 日本酒ならこんなタイプ
- フルーティーな吟醸香がある酒
- 生酒のフレッシュ感で辛味をリセット
- ビールならラガータイプ(ピルスナー)
- 炭酸の刺激とホップの苦味で辛さを洗い流し、箸が進む
- キムチ鍋をつまみにゴクゴク飲める爽快感
火鍋のような激辛スタイル
四川料理で有名な火鍋は、花椒や辣椒(唐辛子)の痺れる辛さが特徴。ビールの中でもホップが効いたIPAなど苦味が強めのものや、度数高めのハイボールなども辛味に負けず相性がいいです。
- 辛い料理が続くときは、途中に水やソフトドリンクで小休止しつつ楽しむのがコツ。
2-4. 洋風・クリーミー鍋(豆乳鍋、トマト鍋、チーズ鍋など)
豆乳や牛乳ベースのまろやか鍋 × 濃醇旨口の日本酒、白ワイン
豆乳や牛乳などでクリーミーに仕上げた鍋には、まろやかな味わいをしっかり受け止めるコクのあるお酒がおすすめです。
- 濃醇旨口の日本酒
- 生もと系や山廃系の純米酒など、旨味がしっかりしているタイプ
- ぬる燗~熱燗にすると、より柔らかな甘みが引き立つ
- 白ワイン
- 辛口のシャルドネやややコクのあるヴィオニエなどを選ぶと、クリーミーさとの調和がとりやすい
- シーフードを入れるならソーヴィニヨン・ブランもおすすめ
トマトベースやチーズ鍋 × 赤ワインも◎
トマトの酸味と旨味がしっかり効いた鍋や、チーズをたっぷり使った洋風鍋は、赤ワインとの相性も良好。トマトの酸味と赤ワインの渋み(タンニン)がバランスよく絡み合います。
- ライト~ミディアムボディの赤ワイン(ピノ・ノワールやメルローなど)
- チーズの濃厚な風味が赤ワインの旨味をさらに引き立て、食欲も倍増
3. 焼酎・泡盛と鍋料理の楽しみ方
3-1. 芋焼酎 × こってり系鍋
芋焼酎は、芋特有の甘い香りやコクが魅力。もつ鍋や豚肉・鶏肉をメインにしたこってり系鍋に負けない存在感があります。
- お湯割りにすると香りが一層際立ち、体も温まる
- 薬味としてニンニクや生姜を使う鍋にも合う
3-2. 麦焼酎 × あっさり和風鍋
比較的クセが少なくすっきりしている麦焼酎は、水炊きや寄せ鍋などのあっさり系と好相性。ストレートやロックだけでなく、ソーダ割りで楽しんでもOK。
3-3. 泡盛 × スパイシー・辛味系
沖縄の泡盛は度数が高く、クセも強め。辛味系鍋やスパイシー料理に合わせると、“辛さ”と“泡盛の力強さ”が拮抗して相乗効果を発揮します。
- 氷や水でしっかり割って、自分好みの濃さに調整
- シークワーサーやレモンを少し絞っても爽やか
4. ビールをさらに楽しむためのコツ
4-1. 温度管理と注ぎ方
ビールは温度によって味わいが大きく変わります。寒い季節とはいえ、冷蔵庫から出してすぐのキンキンに冷えたビールが美味しい方も多いでしょう。
- ラガービール(ピルスナー):冷やしめが◎。辛い鍋との組み合わせは鉄板
- エールビール(ペールエール、IPAなど):やや高めの温度(8~12℃程度)が風味を感じやすい
4-2. 鍋のトッピング&ビールの組み合わせ
ビールとの組み合わせを考えるなら、鍋にトッピングを加えてみるのも一案。
- 辛い鍋にチーズを投入してまろやかさを出す → ビールの苦味と辛味が絶妙に絡む
- 香り高いハーブやスパイスを使った洋風鍋 → エールビールのフルーティーな香りと相性UP
5. ワイン好き必見!鍋と合わせるワインの選び方
5-1. 白ワイン × 魚介鍋・豆乳鍋
魚介の旨みが溶け出す寄せ鍋や、豆乳のまろやかさを活かした鍋には、柑橘系の酸味が特徴の白ワインが好相性。
- ソーヴィニヨン・ブラン:ハーブ感や柑橘系のアロマが魚介を引き立てる
- シャルドネ(樽香あり):バターやチーズなど濃厚系にも合いやすい
5-2. 赤ワイン × トマトベース、肉系鍋
トマト鍋や牛すき焼き鍋などには、赤ワインのしっかりしたコクがぴったり。
- **すき焼き(甘辛醤油ベース)**の場合
- 脂の多い牛肉にはミディアム~フルボディの赤ワイン
- メルローやシラーなどを選ぶと、甘辛タレともマッチ
- トマト鍋の場合
- 酸味と旨味を引き立てるライト~ミディアムボディの赤
- ピノ・ノワールなど軽めもアリ
6. お酒の温度帯と鍋の“アツアツ”を活かすテクニック

鍋が湯気たっぷりのアツアツ状態なので、お酒との“温度差”を楽しむのも大きなポイントです。
- 冷酒や冷えたビールと熱々の鍋でメリハリを楽しむ
- 燗酒やお湯割り焼酎でトータルに暖をとる
- ホットワインなど、洋風鍋に合わせる斬新なスタイルもアリ
冬の鍋パーティーでは、暖かい飲み物を用意しておくだけでなく、しっかり冷えたドリンクも併せて用意することで飽きずに楽しめるでしょう。
7. “鍋パーティー”を盛り上げるアイデア

7-1. 味変を楽しむ“薬味・タレ”を準備
鍋料理は最後まで同じ味だと飽きてしまうことも。そんなときは薬味やタレで変化をつけるのが◎。
- 柚子胡椒、ラー油、ポン酢、ゴマだれ、塩レモン、カレー粉などバリエーション豊富に用意しておく
- スパイスやハーブを加えて洋風アレンジに変えてみる
7-2. シメを工夫してお酒とのマリアージュを再度楽しむ
鍋のシメといえば、うどん、雑炊、ラーメン、パスタなどが定番です。具材やスープの特徴に合わせて選ぶと、最後まで絶品に仕上がります。
- 味噌鍋のシメ:ラーメンや太めのうどん
- キムチ鍋のシメ:ご飯を入れてコクのある雑炊
- 洋風鍋のシメ:リゾット風パスタ
シメ料理には、また別のお酒を合わせる楽しみも生まれます。たとえば、味噌鍋+雑炊を日本酒のぬる燗でじっくり味わうなど、ラストまでペアリングを堪能しましょう。
7-3. 2日目以降のアレンジ
鍋が余ったときは、翌日に新たにアレンジしてお酒を変えてみるのも面白いですよ。
- 味噌鍋 → カレーを足してカレーうどん風
- トマト鍋 → チーズをかけてオーブン焼き風ラザニアに
- クリーム鍋 → グラタンのソースとして再利用
このように味変すれば、また違うお酒(例えばカレーにはビール、グラタンには白ワインなど)とのマリアージュが楽しめます。
8. お酒を楽しむ際のマナー・注意点
- 飲みすぎ注意
鍋の味わいをより楽しむためにも、適量を心がけましょう。お酒が進むと鍋の味にも気を配りにくくなるので、適度に休憩を挟むことが大切。 - 温度管理
お酒の種類によっては適温が異なります。ビールは冷やしすぎず、燗酒は湯煎で温度を調整するなど、丁寧な管理が美味しさを引き出すカギ。 - 参加者の好みに配慮
お酒が飲めない人や弱い人、運転の予定がある人にはノンアルコールビールやソフトドリンク、ハーブティーなども用意しておくと喜ばれます。
まとめ

鍋料理は、その味付けや具材のバリエーションの豊富さで、一年中楽しめる日本の伝統的な食文化です。なかでも寒い季節に食べる鍋は格別で、その温かさは身体だけでなく心まで満たしてくれます。そんな鍋に合わせるお酒も、日本酒・焼酎・ビール・ワイン・ハイボールなど多種多様。味の濃さや出汁の種類、辛味の有無などを踏まえながら自分好みのマリアージュを探っていくのは、鍋の楽しみを何倍にも広げる醍醐味といえるでしょう。
- あっさり和風鍋 → 淡麗辛口の日本酒や麦焼酎、白ワイン
- 濃厚味噌仕立て鍋 → コクのある純米酒やエールビール、芋焼酎
- 辛味系鍋 → 吟醸酒やラガービール、度数高めのお酒で爽快に
- クリーミー・洋風鍋 → 濃醇旨口の日本酒やコクのあるワイン
鍋自体の味だけでなく、薬味やシメ、さらには翌日のアレンジによってもお酒の楽しみ方が変わるのが大きな魅力です。ぜひいろいろな組み合わせを試してみて、家族や友人との鍋パーティーをさらに盛り上げてみてください。お酒と鍋の相性がバッチリ決まれば、心も体もポカポカに温まる素敵な夜を過ごせること間違いなしです。