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日本のウイスキーは、近年世界的にも高く評価される存在となっています。その中でも「竹鶴」は、ニッカウヰスキーが誇るブランドの一つとして、多くのウイスキーファンから愛されてきました。この記事では、創業者・竹鶴政孝の足跡から、竹鶴ブランドの歴史、味わいの特徴、そしておすすめの飲み方までを詳しくご紹介します。日本のウイスキーの魅力と深みを存分に感じていただけると幸いです。
1．竹鶴ブランドの誕生の背景
1-1．竹鶴政孝と日本ウイスキーの始まり
「竹鶴」の名は、ニッカウヰスキーの創業者であり、“日本のウイスキーの父”とも呼ばれる竹鶴政孝氏に由来しています。竹鶴政孝は1894年（明治27年）に広島県竹原市に生まれ、若き日に日本酒醸造などの技術を学んでいました。しかし、ウイスキー造りへの強い情熱を抱き、1918年（大正7年）に単身スコットランドへ留学。その地で本場のウイスキー製造を本格的に学んだことが、日本のウイスキーの始まりに大きく貢献したのです。
当時の日本ではウイスキーの国産化はほとんど進んでおらず、蒸留や熟成技術も未熟でした。そんな中、スコットランドでの学びを活かした竹鶴政孝は、帰国後に寿屋（現在のサントリー）に入社し、鳥井信治郎と共に日本初の本格ウイスキー製造をスタート。その後、1934年（昭和9年）に大日本果汁株式会社（後のニッカウヰスキー）を北海道余市に設立し、独自のウイスキー造りを始めました。
1-2．ニッカウヰスキーの発展と「竹鶴」の誕生
余市蒸溜所でのウイスキー造りは、大自然の厳しい気候条件を活かしつつ、スコットランドの伝統に倣った製法が基盤となりました。のちに宮城峡蒸溜所（宮城県仙台市近郊）も加わり、ニッカウヰスキーはシングルモルトからブレンデッドウイスキーまで、多彩なラインナップを世に送り出すようになります。
その中でも、「竹鶴」は創業者である竹鶴政孝の名を冠したブレンデッドモルトウイスキーとして誕生しました。ウイスキーのブレンディング技術は、モルト原酒やグレーン原酒の組み合わせによって味わいのバランスを整える高度な技術が要求されますが、「竹鶴」はモルトウイスキー同士のブレンドによる“ピュアモルト”として知られています。竹鶴政孝のこだわりが詰まったモルトブレンドは、多くのウイスキーファンを魅了し続けているのです。
2．「竹鶴」の特徴とラインナップ
「竹鶴」ブランドは、ニッカウヰスキーのモルト原酒を主体としたブレンデッドモルト（ピュアモルト）シリーズとして存在感を放っています。その最大の特徴は、余市蒸溜所と宮城峡蒸溜所の個性豊かなモルト原酒を巧みに組み合わせている点にあります。以下に主なラインナップとその特徴をまとめます。
2-1．竹鶴ピュアモルト
2-1-1．竹鶴ピュアモルト（ノンエイジ）
「竹鶴」の定番ともいえるノンエイジのピュアモルトウイスキーです。余市由来の力強いピート香とオイリーさ、宮城峡由来の華やかな香りと軽快さがバランス良く共存しています。ノンエイジながらも、樽由来のバニラ香やフルーティーな甘みを感じることができ、余韻にはしっかりとしたスモーキーさが残ります。価格帯も比較的手ごろなため、初めて竹鶴を試してみたい方にもおすすめです。
2-1-2．竹鶴17年
一時期、世界的な品薄状態になったほど人気の高い一本です。17年間の熟成を経て、余市モルトの力強いコクと、宮城峡モルトの柔らかい甘みがより深く融合しています。飲み口の最初には、ほのかなドライフルーツの甘みやローストナッツのような香ばしさがあり、スモーキーな香りも程よく感じられます。余韻も長く、奥行きのある味わいが特徴的です。
2-1-3．竹鶴21年
さらに熟成を重ねた21年は、17年よりも一層熟成感が強く出ており、重厚さとまろやかさを併せ持った一本です。深みのある甘やかな香りと、ほろ苦さを感じさせるウッディな風味が絶妙に溶け合い、高級感あふれる味わいを楽しむことができます。口当たりはシルクのように滑らかで、贅沢な余韻を味わいたい方にとっては理想的な選択でしょう。
2-1-4．竹鶴25年
竹鶴シリーズの中でも特別感が際立つのが25年です。希少性も高く、市場に出回る本数が限られているため、ウイスキーコレクターにとっても憧れの存在となっています。25年という長期熟成がもたらす芳醇な香りと複雑味は、まさに圧巻。チョコレートや深煎りコーヒーを思わせるビターなニュアンスがありつつ、ドライフルーツの濃縮感や甘みが重なり合い、非常にリッチな飲み口となっています。
2-2．その他の限定・特別商品
竹鶴ブランドでは、特定の市場向けや記念モデルなど、限定商品のリリースが行われることもあります。例えば、ウイスキーの原酒にこだわったシングルカスクや、特別に選び抜かれた樽を使用したスモールバッチなどです。これらは通常のラインナップとは異なる個性や味わいを持つため、ウイスキーファンの間では非常に人気が高く、入手難易度も上がりがちです。
3．味わいの魅力と楽しみ方
「竹鶴」はスコットランドの伝統製法をベースに、日本の風土や気候条件、そして日本人ならではの繊細なブレンド技術が融合したウイスキーです。以下では、その味わいの魅力をさらに深堀りしながら、おすすめの飲み方をご紹介します。
3-1．味わいの特徴
- スモーキーさとフルーティーさのバランス
余市モルトの力強いピート香は、スコッチウイスキーにも匹敵するほどしっかりとしたスモーキーさをもたらします。一方で、宮城峡モルトの穏やかで華やかなアロマがバランスを保ち、重厚感とフルーティーさが調和した絶妙な味わいを生み出します。 - オイリーな口当たり
竹鶴政孝が理想としたスコッチウイスキーのスタイルに近づけるため、余市蒸溜所では伝統的な石炭直火蒸溜を採用しています。これによって得られるオイリーさやコクは、竹鶴シリーズの大きな特徴であり、飲みごたえを一層豊かなものにしています。 - 熟成感と樽由来の風味
シェリー樽やバーボン樽など、さまざまなタイプの樽を組み合わせることにより、奥行きのある味わいを実現しています。ドライフルーツ、バニラ、ナッツ、ウッディさなど、樽から得られるニュアンスが複雑に重なり合い、長期熟成モデルほどその特徴が顕著です。
3-2．おすすめの飲み方
- ストレート
ウイスキー本来の風味を存分に感じることができる飲み方です。アルコール度数が高いと感じる場合は、少量の加水やチェイサー（水や炭酸水）を併用しながら楽しむと、ウイスキーの複雑なアロマをしっかりと堪能できます。 - ロック
氷を入れ、時間とともに溶けていく氷がウイスキーと混ざり合うことで、香りや味わいの変化を楽しめます。とくに竹鶴シリーズはスモーキーかつコクのある味わいなので、ロックでもしっかりと個性が感じられるでしょう。 - ハイボール
炭酸水と割ることで、爽快な飲み口に仕上がります。竹鶴のスモーキーさやフルーティーさが軽やかに広がるため、食事中にも合わせやすいのが魅力です。レモンピールやミントを軽く加えると、香りのアクセントが増して一層楽しめます。 - トワイスアップ
ウイスキーと同量の常温の水を加えるスタイルです。過度にアルコール感が強くなることなく、香りの立ち方や味わいの変化をじっくりと感じられます。長期熟成の竹鶴シリーズは、この飲み方でより繊細なニュアンスを堪能することができます。
4．「竹鶴」が世界で評価される理由
近年、日本のウイスキーは世界的なコンクールでも数多くの賞を受賞し、その品質が広く認められています。「竹鶴」も例外ではなく、海外のウイスキー評論家や愛好家からも高い評価を得ています。ここでは、その評価の背景を探ってみましょう。
- スコットランドの伝統製法を受け継ぐ本格派
創業者・竹鶴政孝がスコットランドで学んだ技術や哲学を忠実に守りつつ、日本の風土や気候に合わせた改良を加えてきたことで、スコットランド産ウイスキーにも引けを取らない品質を実現しています。 - 日本人ならではの繊細なブレンド技術
単に原酒を混ぜるだけではなく、それぞれの原酒の特徴を見極め、狙った味わいを実現するために幾度もテイスティングと微調整を繰り返すブレンド技術が、日本ウイスキーの真骨頂です。「竹鶴」のバランスの良い味わいは、そうした職人技の結晶と言えるでしょう。 - 独自の熟成環境
余市蒸溜所が位置する北海道の寒冷な気候は、ウイスキーの熟成に独特の影響を与えます。寒暖差が比較的緩やかで、湿度も適度に保たれるため、樽内でのウイスキーの呼吸がゆったりと進みます。これにより、ゆっくりとした熟成が可能となり、奥深い香りと味わいが醸し出されるのです。 - グローバルなプロモーションと需要の拡大
日本ウイスキー全体の人気高騰も相まって、「竹鶴」の名声は海外でも急速に広がりました。特にウイスキー愛好家が集まる欧米やアジアの一部地域では、日本ウイスキーがプレミアム市場の一角を担うようになり、需要の拡大が品薄状態を招く一因となっています。
5．「竹鶴」を味わう上での注意点
ここまで「竹鶴」の魅力を語ってきましたが、一方で手に入りづらい状況や価格の高騰なども無視できません。また、おいしく楽しむためには、いくつか注意すべき点もあります。
- 偽物・並行輸入品の存在
人気ウイスキーには偽物や不正商品が出回る場合があります。正規輸入代理店や信頼のおける店舗から購入するように心がけましょう。また、ネット通販で購入する場合も、販売元の評価やレビューを必ず確認し、安全なルートで手に入れることをおすすめします。 - 過度のプレミア価格に注意
世界的な需要拡大に伴い、竹鶴シリーズも入手困難な状況になることが多々あります。特に長期熟成の竹鶴（17年、21年、25年など）はプレミア価格で取引されることも少なくありません。購入にあたっては、あくまで適正価格を意識し、無理のない範囲で楽しむことが大切です。 - 保管方法と開栓後の管理
ウイスキーは基本的に腐るものではありませんが、直射日光や高温多湿を避け、冷暗所で保管すると品質を長く維持できます。開栓後は酸化が進みやすくなるため、なるべく空気の量を減らすように保管し、風味の変化を楽しみながら飲み切ることが望ましいです。 - ゆっくりと時間をかけて味わう
ウイスキーは時間とともに香りや味わいが変化します。ストレートやロックの場合は特に、グラスに注いだ後すぐに口に含むのではなく、香りを楽しみながらゆっくりと味わうのがおすすめです。
6．まとめ：日本を代表するブレンデッドモルトとしての「竹鶴」
「竹鶴」は、日本のウイスキー史にその名を刻んだ竹鶴政孝の情熱とこだわりが詰まったブランドです。本場スコットランドの伝統製法を忠実に守りながら、日本の気候風土や職人技を取り入れた結果、世界的な評価を得るに至りました。余市蒸溜所の力強い個性と宮城峡蒸溜所の優雅なアロマのブレンドは、多面的な味わいを生み出し、ウイスキーファンを虜にしています。
特に17年や21年といった熟成モデルは海外でも高い人気を誇り、年々入手が困難になる傾向があります。しかし、その希少性を含めて「竹鶴」はウイスキー愛好家にとって特別な存在であることは間違いありません。ノンエイジモデルを気軽に楽しむもよし、特別な日に長期熟成モデルを開栓するもよし。いずれにしても、グラスを傾けるときには創業者の情熱と日本のウイスキー文化の深さを感じ取れるでしょう。
日本のウイスキーが世界トップクラスと評される今、その立役者の一角にある「竹鶴」は、これからも国内外のウイスキーファンを魅了し続けるはずです。もしまだ味わったことがないのであれば、まずは「竹鶴ピュアモルト」や「竹鶴17年」などの入手しやすい銘柄を試してみてはいかがでしょうか。スコットランドの伝統と日本の繊細さが融合したその味わいに、きっと感動を覚えることでしょう。
