※お酒は20歳になってから
はじめに
みなさんは、日本のウイスキーと聞いてどの銘柄を思い浮かべるでしょうか。近年、世界的なコンペティションで数々の賞を受賞し、日本のウイスキーは一躍脚光を浴びています。その中でもひときわ存在感を放ち、国内外のウイスキー愛好家から絶大な支持を集めているのがサントリーウイスキー「山崎」です。
「山崎」は1923年、日本の洋酒の父とも呼ばれるサントリー創業者・鳥井信治郎によって設立された“日本初の本格的なウイスキー蒸留所”で造られています。その歴史は実に100年近くにおよび、幾度もの試行錯誤や時代の変遷を経ながら、世界基準のシングルモルトウイスキーへと成長を遂げてきました。スコットランドのウイスキー造りをお手本としつつも、四季のはっきりとした日本の気候を活かし、日本人の味覚にも寄り添う繊細かつ奥深い味わいを実現している点が「山崎」の最大の魅力です。
現在では、世界中のバーやレストラン、免税店などで目にする機会も増え、その人気の高さから入手困難な状態が続いています。一時は海外からの爆発的な需要増によって品薄となり、プレミア価格で取引されるケースも少なくありません。そんな世界的な評価を勝ち得た「山崎」ですが、初心者でも一度は味わってみてほしい、とても魅力的なウイスキーでもあります。
この記事では、「山崎」の歴史や特徴、さらにおすすめの飲み方や蒸留所見学のポイントなどを詳しくご紹介します。もし、ウイスキーは少し敷居が高いと感じている方でも、この記事を読むことで「山崎」の奥深い世界に足を踏み入れるきっかけになれば幸いです。それでは、早速見ていきましょう。
1. 山崎ウイスキーの歴史

● 日本初の本格的なモルトウイスキー蒸留所
サントリーの創業者・鳥井信治郎氏は、スコットランドのウイスキー造りに憧れつつも、日本人の繊細な味覚に合う独自のウイスキーを作ることを目指しました。そこで選ばれた場所が、京都と大阪の境に位置する「山崎」という地です。1923年、ここに日本初のモルトウイスキー蒸留所を設立し、日本のウイスキー史の幕が上がりました。
● 豊かな自然環境が育む美味しさ
山崎は古くから“名水の里”として知られ、豊富な湧き水や湿度・気温などがウイスキーの熟成に好影響を与えることで知られています。特に「離宮の水」と呼ばれる質の高い水源を使用することで、雑味の少ないまろやかな味わいを引き出すことに成功しています。
2. 山崎ウイスキーの特徴
● 多様な原酒が生み出す奥行き
山崎蒸留所には大小さまざまな形状のポットスチルが設置されており、それぞれ異なる風味の原酒を生み出します。さらにシェリー樽、ホワイトオーク樽、ミズナラ樽など、複数のタイプの樽を使い分けて熟成させることで、複雑かつ多層的なフレーバープロファイルが完成します。
● 華やかでフルーティーな香り
山崎の大きな魅力のひとつが、フローラルでフルーティーな香りです。洋梨やピーチ、バニラなどの甘い香りが、ミズナラ特有の和の香りと絶妙に調和し、品のあるエレガントなアロマを放ちます。
● バランスの良い味わい
口に含むと、豊かな甘みと優しい酸味、そして樽由来のほのかな渋みが調和し、奥行きのある味わいが広がります。力強さと繊細さを兼ね備えているため、ウイスキー初心者でも比較的飲みやすく、また通好みの深い味わいも同時に楽しめるのが大きな特徴です。
3. 山崎ウイスキーの種類
山崎にはいくつかのレギュラーラインナップがあります。特別限定品やリミテッドエディションなど希少性の高いものもありますが、ここでは主な定番商品をご紹介します。

山崎 12年
山崎の代表格とも言える一本。華やかな香りとまろやかでコクのある味わいが楽しめます。

山崎 18年
長期熟成による深いコクとしっかりとした樽香が特徴。シェリー樽由来のリッチな風味と複雑な余韻は、多くのファンを虜にしています。

山崎 25年
さらに熟成を重ね、希少な原酒のみを使用した特別なウイスキー。その豊潤で深みある味わいは、一度口にすると忘れられないほどのインパクトを残します。

山崎 ノンエイジ(NAS)
年数表記のないタイプですが、山崎らしい華やかさとフルーティーさをしっかりと感じられる一本。比較的手に取りやすい価格帯で、はじめての方におすすめです。
4. おすすめの飲み方
● ストレート
ウイスキーそのものの香りと味わいをダイレクトに楽しむなら、まずはストレートがおすすめです。口に含んで少し温めると、フルーティーな香りがさらに引き立ちます。強いアルコール感が気になる場合は、チェイサーに常温水を用意するとよいでしょう。
● ロック
氷による冷却効果と、溶け出す水分でアルコール度数が少しずつ変化していくため、味わいの移り変わりを楽しめます。暑い季節や、ゆったりと時間をかけて飲みたいときに最適です。
● ハイボール
炭酸水で割ることで、ウイスキー独特の香りやコクを爽快に楽しむことができます。華やかでフルーティーな香りがさらに引き立ち、食事との相性も良いのがポイントです。ウイスキー初心者や女性にも人気の飲み方といえます。
5. 山崎蒸留所見学の魅力
● 製造過程を間近で体感
山崎蒸留所では見学ツアーが行われており、実際のポットスチルや樽の貯蔵庫を間近で見ることができます。ウイスキーがどのように生まれるかを肌で感じられる体験は、ファンでなくともワクワクすることでしょう。
● テイスティングで発見
見学後はテイスティングタイムが設けられており、「山崎」はもちろん、サントリーのほかのウイスキーを飲み比べることも可能です。それぞれの原酒や樽の特徴を意識しながらテイスティングすると、新たな発見があるかもしれません。
注意
見学は予約制となっており人気が高いので、早めの予約をおすすめします。最新情報はサントリー公式サイトをチェックしてください。
まとめ

日本のウイスキー界において、確固たる地位を築いてきた「山崎」。その魅力はなんといっても、歴史ある蒸留所が生み出すバラエティ豊かな原酒のブレンドにより生まれる、複雑で奥行きのある味わいにあります。四季折々の気候がもたらす微妙な変化や、天然の名水を活かしたつくりは、日本ならではの繊細さと深みを備えており、海外のウイスキーファンからも絶大な支持を得ています。
また、その華やかな香りとマイルドな口当たりは、ウイスキー初心者でも比較的挑戦しやすい点が魅力です。ストレートでしっかりと味わうのもよし、ハイボールやロックでライトに楽しむのもよし。飲み方のアレンジは多彩で、シーンや好みに合わせて自在にアプローチできるのも「山崎」の強みと言えるでしょう。
さらに、蒸留所の見学は「山崎」の世界観をより一層深く知る絶好のチャンス。実際に樽の香りを感じ、ポットスチルを見学することで、ウイスキーがどんな思いと手間ひまをかけて作られているかを体感できます。その経験は、あなたが次に山崎を飲むとき、きっと味や香りをさらに奥深く感じさせてくれるはずです。
日本を代表するウイスキーとして、そして世界中のウイスキーファンを魅了する一本として、これからもその地位を揺るぎないものにしていくであろう「山崎」。もしまだ味わったことがないなら、一度手に取ってみてはいかがでしょうか。そのまろやかな口当たりとフルーティーなアロマは、きっとあなたのウイスキー観を変えてくれるはずです。そして、すでにファンの方であれば、さらに深く「山崎」のストーリーや魅力を堪能するためにも、蒸留所見学や限定リリースのチェックなど、新たな楽しみ方を追求してみるのもおすすめです。
ひと口含むたびに感じる豊かな余韻が、忙しい日常の中であなたを優しく癒してくれることでしょう。時には特別な日の一杯として、あるいは大切な人への贈り物として、心に残るウイスキー体験をぜひ堪能してください。日本が誇るシングルモルトウイスキー「山崎」の世界に、今こそ足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。