※お酒は20歳になってから
お酒の席は、仕事の付き合いや友人との飲み会、特別な日のパーティーなど、日常生活のさまざまな場面で登場する楽しみのひとつです。しかし、楽しいはずの飲酒も、翌朝に襲ってくる「二日酔い」によって台無しになってしまうことがあります。頭痛、吐き気、脱水感、だるさ……あの嫌な症状をできるだけ避けたいと思う人も多いでしょう。本記事では、「もう二日酔いにならない!」を目標に、飲む前にできる工夫や飲んだ後に気をつけたいことを詳しく解説します。正しい知識を身につけ、快適にお酒を楽しむための参考にしてください。

1. はじめに:二日酔いとは何か?

「二日酔い」とは、飲酒した翌朝に起こる頭痛や吐き気、倦怠感などの不快な症状の総称です。アルコールを摂取すると、その代謝産物として体内に生じるアセトアルデヒドなどが原因で、さまざまな不快症状を引き起こします。さらに、アルコールの利尿作用による脱水や電解質バランスの乱れ、胃腸への刺激も加わり、翌朝には体調が崩れてしまうのです。
お酒の種類や飲酒量、体質によって二日酔いの度合いは人それぞれ異なります。また、日本人にはアルコールを分解する酵素(アルコール脱水素酵素やアルデヒド脱水素酵素)の働きが弱い人が多いため、欧米人より二日酔いになりやすいとも言われています。しかし、日々の飲酒習慣や事前・事後のケアによって、二日酔いのリスクを大幅に軽減することが可能です。
2. 二日酔いのメカニズム

二日酔いを予防・軽減するためには、まずそのメカニズムを理解する必要があります。アルコールが体内で分解される過程を簡単にまとめると、以下のようになります。
- アルコール脱水素酵素(ADH)
アルコール(エタノール)をアセトアルデヒドに分解する酵素。日本人にはこの酵素の活性が低い人もいるため、体内に長くアルコールが残りやすい場合があります。 - アルデヒド脱水素酵素(ALDH)
アセトアルデヒドを酢酸に分解する酵素。アセトアルデヒドは二日酔いの原因となる物質のひとつで、頭痛や吐き気などの不快症状を引き起こす主犯格です。ALDHの働きが弱いとアセトアルデヒドが蓄積しやすくなり、二日酔いになりやすくなります。 - 最終的に水と二酸化炭素へ
アセトアルデヒドが酢酸になり、最終的には水と二酸化炭素に分解され、体外へ排出されます。この過程をスムーズに進めるためには酵素がきちんと働く必要があり、体質のほか、栄養状態や水分量も大きく影響します。
アルコールは利尿作用が強いため、飲酒後は想像以上に体内の水分が失われていきます。脱水状態になると頭痛や倦怠感、口の渇きなどを感じるだけでなく、血中のアルコール濃度やアセトアルデヒド濃度が高まりやすくなり、二日酔いを悪化させます。また、アルコールは胃や腸を刺激するため、吐き気や胃痛の原因にもなります。これらの複合的な要因が、二日酔いの不快症状を生み出しているのです。
3. 飲む前にできる工夫
“食事をしっかり摂る”
まず最も重要なのは「空腹状態で飲まない」ということです。空腹時にアルコールを摂取すると、消化管からの吸収が早まり、血中アルコール濃度が急激に上昇します。これによって酔いが回るのも早くなり、二日酔いにもつながりやすくなるのです。
- タンパク質や脂質を含む食事
肉や魚、大豆製品などのタンパク質、あるいは適度な脂質を含む食事を摂っておくことで、胃腸の中にクッションを作り、アルコールの吸収速度を緩やかにします。たとえば居酒屋メニューでも、焼き鳥や枝豆、豆腐料理などタンパク質源を意識するのが良いでしょう。 - 炭水化物もしっかり
アルコールを分解する過程では、肝臓がエネルギーを消費します。エネルギー不足に陥らないように、おにぎりやパン、麺類など炭水化物をある程度摂取しておくのも重要です。 - 野菜や果物でビタミン補給
ビタミンやミネラルは肝臓の代謝をサポートします。野菜サラダやフルーツ、スムージーなどでしっかりと補給しておくとアルコール分解を助ける効果が期待できます。
“水分補給を十分に行う”
アルコールには利尿作用があり、飲酒によって脱水状態が進みます。あらかじめ体内の水分量を十分に保つことが、二日酔いの予防に有効です。
- 飲む前の水分摂取
飲酒前にはコップ1~2杯ほどの水を飲んでおくと良いでしょう。体内に水分を満たしておくことで、アルコール摂取後の急激な脱水を緩和できます。 - スポーツドリンクや経口補水液を活用
長時間の飲み会などで、塩分やミネラルも失われがちです。もし飲み会が長引く予定がある場合は、スポーツドリンクや経口補水液を用意しておくと安心です。
“二日酔い予防サプリやドリンクを活用する”
市販の「ウコンの力」や「ヘパリーゼ」など、二日酔い予防を目的としたドリンクやサプリメントは多数存在します。これらの製品には、肝臓の働きをサポートするとされる成分(ウコンに含まれるクルクミンや、オルニチン、ビタミンB群など)が配合されていることが多いです。もちろん、「飲めば絶対に二日酔いを防げる」という魔法の製品ではありませんが、ある程度の効果は期待できます。
- タイミングに注意
多くの製品は「飲む前」に摂取することが推奨されています。胃腸が空っぽの状態で飲むときは、食事や軽食と同時、または食後に摂るなど、負担を軽減する工夫をしましょう。 - 肝臓サポート成分
ウコンやオルニチン、ビタミンB群などはアルコール代謝を助けると言われています。ただし、体質や個人差も大きいので、過度な期待をせず、あくまで補助的に活用するのが良いでしょう。
“充分な休息睡眠をとる”
飲み会の前日までに疲労が溜まっていると、肝臓の働きも弱りがちです。アルコール分解には肝臓の負担がかかるため、体が疲労している状態だと二日酔いになりやすくなります。
- 体調を整える
可能であれば、飲み会がある日の前日は早めに寝て、十分な睡眠をとるようにしましょう。仕事などでどうしても忙しい場合でも、合間に短い休憩を挟むなどして体力を温存することを意識します。 - ストレスを溜めない
過度のストレスは飲酒量を増やす原因にもなりますし、肝臓への負担も大きくなります。心身ともに健康な状態で飲酒を楽しめるように、自分なりのストレス発散方法を持っておくと良いでしょう。
4. 飲んだ後に気をつけること

いくら飲む前の対策を万全にしていても、飲み会が長引いて想定以上に飲んでしまったり、つい深酒をしてしまうケースはあるでしょう。そんなときでも、飲んだ後のケアをしっかり行うことで、二日酔いのリスクを抑えられます。
“アルコール分解を促すために心がけること”
- 飲み過ぎたと感じたら早めに切り上げる
二日酔いを防ぐ最も確実な方法は、飲み過ぎを避けることです。深酒になりそうだと感じたら、その日は無理をせずに帰宅したり、ソフトドリンクや水に切り替える勇気を持ちましょう。 - 軽いおつまみやスナックでエネルギー補給
アルコールを大量に摂ると肝臓がフル稼働します。少しでもエネルギー補給をしておくと、肝臓の働きをサポートできます。ただし、油っぽいものや辛いものは胃に負担をかけるため、ほどほどに。
“こまめな水分補給”
飲み会の最中も、できる限り水やソフトドリンクを合間にはさみながら飲むのがおすすめです。アルコールの合間に水を飲むことで、血中アルコール濃度の急上昇を抑えたり、脱水を軽減できます。可能であれば、お酒1杯につき水1杯程度のペースで飲むのが理想的です。
“湯船やサウナでリフレッシュは控えめに”
お酒を飲んだ後に「血行を良くしてアルコールを抜こう」と考え、入浴やサウナで汗をかこうとする人もいます。しかし、飲酒直後はすでに体内の水分が不足しがち。サウナや熱い湯船でさらに汗をかくことで、脱水が進んでしまうリスクがあります。また、血圧の変動も大きく、心臓や脳血管に負担がかかる可能性があるので、特に泥酔状態での入浴やサウナは危険です。落ち着いてからぬるめのシャワーを浴びる程度にとどめ、無理のない範囲でリラックスを心がけましょう。
“睡眠の質を高める工夫”
二日酔い防止には、十分な睡眠が欠かせません。ただし、アルコールを摂取すると寝付きはよくなる一方で、睡眠の質は低下しやすいのが一般的です。深夜まで飲んで帰宅した場合は、少しでも質の良い睡眠をとるために、以下のような点を意識してください。
- 寝る前にも水分を補給する
コップ1杯程度の水を飲んでから寝るだけでも、翌朝の脱水による頭痛を軽減できます。 - 消化に良いものを少量摂る
空腹で寝ると逆に睡眠が浅くなる場合がありますが、飲んだ後にがっつり食べると胃腸に負担をかけます。お茶漬けや雑炊など、消化によい軽食を取り、満腹になりすぎないように注意しましょう。 - 寝る体勢を工夫する
吐き気が残る場合は横向きや上体を少し高くした姿勢で眠ると、嘔吐や胃酸の逆流を起こしにくくなります。
5. 翌朝のケア:二日酔いの症状を早く和らげるために
前夜にどんなに注意していても、飲酒量や体調によっては二日酔いを完全に防ぎきれない場合もあります。そこで、翌朝目が覚めたときに症状を少しでも和らげるためのケアを紹介します。
“水分ミネラル糖分の三点セット”
二日酔いの朝に最も大切なのが、水分補給です。脱水状態を改善することで血液循環がスムーズになり、アルコールやアセトアルデヒドの分解・排出も進みます。また、アルコール分解にはエネルギーやミネラルも必要なので、水分だけでなく、ミネラルや糖分の補給も重要です。
- スポーツドリンクや経口補水液
塩分・ミネラル・糖分を効率よく摂取できます。もし二日酔いが予想される場合は、事前に買っておくと朝の手間が省けて便利です。 - 蜂蜜レモン水やフルーツジュース
レモンなどの柑橘系にはビタミンCが多く含まれ、代謝をサポートします。蜂蜜は天然の糖分とミネラルが含まれているため、朝のエネルギー補給に最適です。
“ビタミンアミノ酸を意識する”
アルコール分解で肝臓が消費する栄養素には、ビタミンB群やアミノ酸(タウリンやオルニチンなど)があります。これらを朝食などで意識的に摂取すると、回復を早めるのに役立ちます。
- ビタミンB群
レバーや卵、豚肉、納豆などに含まれています。朝食としてベーコンエッグや納豆ご飯を食べられそうであれば、摂取するとよいでしょう。 - アミノ酸
豆腐、魚、鶏肉、牛乳など、タンパク質豊富な食材にアミノ酸は含まれています。サプリメントやドリンクを活用するのも一つの手です。
“軽い運動やストレッチで血行促進”
二日酔いの朝は、だるくて動きたくないという人も多いでしょう。しかし、軽い散歩やストレッチなどを行い、血行を促進して代謝を高めることは有効です。無理をする必要はありませんが、外の空気を吸いながら短時間でも歩くと、体がスッキリしやすくなります。
- 水分補給を忘れずに
汗をかくと水分が失われるので、運動前後には水やスポーツドリンクを摂取しましょう。 - 深呼吸を取り入れたストレッチ
酸素をしっかり取り込むことで血液循環が良くなり、アルコールの分解・排出をサポートできます。
“胃に優しい食事を選ぶ”
二日酔いのときは胃が荒れていることが多く、油っこい食事や刺激物は負担が大きくなります。朝食には以下のような胃に優しいものを選ぶとよいでしょう。
- お粥、うどん、雑炊
消化しやすく、温かいスープ類は胃腸への負担が少ないためおすすめです。野菜やきのこ類を加えて栄養バランスを整えるとさらに良いでしょう。 - スープ類
味噌汁やスープ、ポトフなど、水分・塩分・栄養を同時に摂取できます。味噌汁なら発酵食品由来の乳酸菌も期待できます。 - フルーツ
バナナなど食べやすく消化に良いフルーツは手軽に糖質やカリウムを補給でき、二日酔い対策に適しています。
6. まとめ

二日酔いにならないためには、飲む前・飲んだ後・翌朝の3段階でそれぞれ適切なケアを行うことが大切です。主に以下のポイントを押さえておけば、二日酔いのリスクを大きく減らせるでしょう。
- 飲む前にやること
- 空腹で飲まない(タンパク質・炭水化物をしっかり摂る)
- 飲酒前に水を飲んでおく
- 必要に応じて二日酔い予防サプリやドリンクを活用する
- 前日はしっかりと睡眠をとり、体調を整えておく
- 飲んだ後にやること
- こまめに水分補給をしながら飲む
- 飲み過ぎを感じたら早めに切り上げる
- サウナや長湯は脱水を悪化させる可能性があるため控えめに
- 寝る前にもコップ1杯の水を飲む
- 翌朝にやること
- 水分+ミネラル+糖分を一度に補給(経口補水液やスポーツドリンクが便利)
- ビタミンB群やアミノ酸を多く含む食材を摂取
- 軽い運動やストレッチで血行促進
- 胃に優しい食事(お粥、スープ、フルーツなど)を選ぶ
特に大切なのは、飲み過ぎを防ぐことと水分補給です。お酒を飲んでいるときから合間に水を挟むだけでも、翌日の体調は大きく変わります。自分の体と上手に付き合いながら、楽しく、そして快適にお酒の席を過ごせるように心がけましょう。
7. 注意点と免責事項
- 個人差について
アルコール分解能力には大きな個人差があり、日本人は欧米人に比べて酵素活性が低い人が多いとされています。したがって、友人が同じ量を飲んでも平気だからといって、自分も安全とは限りません。体質やその日の体調を考慮し、無理のない範囲で飲酒しましょう。 - 病気や持病のある人は専門家の指導を
肝臓病や糖尿病、高血圧などの持病をお持ちの方は、お酒を飲むことで症状が悪化する場合があります。主治医や専門家のアドバイスを受けながら飲酒習慣をコントロールすることが大切です。 - サプリやドリンクはあくまで補助的
二日酔い対策の製品は数多く市販されていますが、それらはあくまでサポートを目的としたものであり、過度な期待は禁物です。基本は「飲み過ぎないこと」「水分補給をしっかりすること」であり、サプリはあくまでも補助的に利用しましょう。 - 急性アルコール中毒のリスク
お酒の飲み過ぎは二日酔いだけでなく、急性アルコール中毒など生命の危険にもつながる事態を招きかねません。特に一気飲みや強制的な飲酒は絶対に避けてください。体調が少しでもおかしいと感じたら、すぐに医療機関に相談しましょう。 - 未成年の飲酒や妊娠中・授乳期の飲酒は厳禁
法律で定められている通り、未成年者の飲酒は禁止されています。また、妊娠中・授乳期の飲酒は胎児や乳児の発育に悪影響を及ぼす可能性があるため控えましょう。
終わりに
誰しも経験のある嫌な二日酔いですが、事前の対策や翌朝のケアをしっかり行うことで、そのリスクや症状はかなり軽減することが可能です。一番のポイントは「飲み過ぎない」ことですが、それが難しい場合も少なくありません。自分の限界や体調を見極めながら、この記事で紹介した方法を取り入れて、より快適な飲酒ライフを送っていただければ幸いです。
※本記事の内容は、一般的に知られている二日酔い対策をまとめたものであり、医学的・専門的アドバイスの代替となるものではありません。体調に異変を感じた場合や持病がある方は、医療機関に相談するようにしてください。
